冬でも「貧酸素水塊」が発生
東京湾で海上保安庁が観測
海上保安庁海洋情報部および第三管区海上保安本部海洋情報部では、東京湾再生プロジェクト(*1)の一環として行っている海中の酸素濃度の常時監視によって、夏季だけでなく冬季にも貧酸素水塊(*2)が発生するというこれまで知られていなかった現象を3年連続で捉えました。
海上保安庁海洋情報部および第三管区海上保安本部海洋情報部では、東京湾再生プロジェクトの一環として、東京湾奥の千葉灯標にモニタリングポスト(*3)を設置し、平成15年5月より水質の常時監視を行っています。これにより、従来の船舶による観測では捉えることのなかった、「冬季に発生する貧酸素水塊」を3年連続で観測しました。
これまで内湾では貧酸素水塊は夏にしか発生しないと考えられていましたが、東京湾では冬にも毎年、貧酸素水塊が発生することがわかりました。ただし、夏季の貧酸素水塊が10日から1ヶ月程度継続するのに対し、今回観測された冬季の貧酸素水塊の継続期間は2、3日程度であり、生物に対する影響は小さいと考えられます。
東京湾再生プロジェクトでは、底層の溶存酸素濃度を東京湾再生の指標とし、これを「年間を通じて底生生物が生息できる限度」に回復するという目標を設定しています。
今後は夏季だけでなく、冬季の貧酸素水塊発生状況についても監視を強めることとしております。
なお,この成果を横浜市立大学にて開催される2006年度日本海洋学会春季大会にて、今月29日に発表する予定です。
2006年2月に観測された、溶存酸素濃度鉛直分布の時間変化.4.3mg/l 以下(赤色の線で囲まれた、濃い青の領域)が貧酸素水塊です。
20日および23日から26日までに貧酸素水塊の発生が認められます.
*1 東京湾再生プロジェクトとは?
『快適に水遊びができ、多くの生物が生息する、親しみやすく美しい「海」を取り戻し、首都圏にふさわしい「東京湾」を創出する。』という目標に向けて、平成15年3月に「東京湾再生のための行動計画」が策定されました。底層の溶存酸素濃度がこの目標の達成状況を判断する指標とされ、これを「年間を通じて底生生物が生息できる限度」に回復することが具体的な目標に設定されています。この目標を達成するために、平成15年度から10年間、関係省庁および八都県市からなる「東京湾再生推進会議」において、@陸域負荷削減策、A海域における環境改善策、B東京湾のモニタリング等を分担、並行して進めるという東京湾再生プロジェクトが行われています。当庁ではこのうち「東京湾のモニタリング」を行っています。
*2 貧酸素水塊とは?
生物に影響が及ぶほど酸素濃度の低い水塊。境界値についてはさまざまな指標がありますが,水産用水基準において、4.3mg/l が「底生生物の生息状況に変化を引き起こす臨界濃度」とされています。そのため、ここではそれ以下の酸素濃度をもった水塊を貧酸素水塊としています。
*3 モニタリングポストとは?
千葉港の西方約5km に位置する千葉灯標に設置した、水質の常時観測装置です。1時間に1回、海面と水深10m の海底との間でセンサーを昇降させることで、水中の溶存酸素濃度、水温、塩分、プランクトンの量の指標となるクロロフィルa 濃度の鉛直分布を自動観測しています。観測結果は、HPにて公開しています。
観測結果のURLは、http://www4.kaiho.mlit.go.jp/kaihoweb/index.jsp です。